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2015年11月30日

横浜FMの伊藤翔に伝授したい「ピヴォのキープ」
Fリーグ取材とJリーグ観戦のなかで感じた
サッカー選手にも有効なフットサルの動き

普段はもっぱらサッカー専門、週末はひいきのJクラブ(横浜F・マリノス)の観戦にスタジアムに足を運ぶという筆者が、Fリーグの全チームが集結する集中開催「小田原セントラル」の初日の取材に出掛けた。これで今シーズンのFリーグ観戦は通算7試合。今回は、王者・名古屋オーシャンズが“王者たるゆえん”を知り、そしてサッカーにも生かせるであろうフットサルならではの動きの有用性も感じた。

photo by Yoshinobu HONDA

文=山岸典

 11月21日にFリーグの全チームが集結する集中開催、「小田原セントラル」が行われた小田原アリーナへ足を運んだ。今回は1日に3試合ずつ2日間にわたって行われるというレギュレーションだった。自分が普段から観戦しているJリーグやなでしこリーグといったサッカーの試合では、1日に複数試合を見られるケースはほとんどない。フットサルは40分(20分ハーフ)という試合時間であるため、90分のサッカーよりも、同一会場で複数試合を運営するには適しているのかもしれない。自分のようなFリーグ観戦の経験が浅い者にとってもそうなのだが、長い時間じっくりフットサルを楽しむことができ、1日で一気に試合を見られるお買い得感も味わえる。振り返ってみると、率直にとても貴重な機会だったと感じている。

 21日は、バサジィ大分とエスポラーダ北海道、名古屋オーシャンズとデウソン神戸、シュライカー大阪とアグレミーナ浜松という組み合わせだった。そこで最も感じたのは、上位にいるチームは、勝負どころで得点を奪える外国人ストライカーがいるということだった。名古屋と神戸の一戦は、1-1で迎えた28分に名古屋のセルジーニョがFKの流れから勝ち越し点を奪い、続く31分にもCKからセルジーニョがゴールネットを揺らした。ブラジル人選手の大事な場面での2発によって、名古屋はこの試合に4-2で勝利した。

 名古屋がFKを獲得した場面で、セルジーニョはベンチにいた。しかし、すぐさま交代してピッチに飛び出すと、文句の付けようがない仕事をこなした。神戸が0-1から同点ゴールを決めた、わずか35秒後のことだった。神戸の追い上げムードを制する一撃であり、その3分後に挙げたゴールも同様に、相手の戦意を奪う重要な一発だった。決めるべき場面でゴールを決められる選手を擁していたことが、名古屋の勝利を確実なものにした。

 これはもちろん、フットサルに限らず、サッカーでも大切なことだ。Jリーグでセカンドステージ優勝を飾り、年間順位でも首位に立ったサンフレッチェ広島には、リーグ戦33試合で21ゴールをマークしたドウグラスというストライカーの活躍があった。勝負どころでのゴールという結果の積み重ねが、チームを上位に押し上げていったはずである。ちなみに、自分が応援する横浜F・マリノスは、得点源であるラフィーニャがケガのために1年間フル活動できなかったことも影響し、年間7位という思わしくない成績で終わってしまった……。

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 それともう一つ、この小田原セントラル取材の翌日に観戦した、F・マリノスと松本山雅FCのリーグ戦で感じたことがあった。それは、「フットサルのようなボールキープを、サッカー選手ももっと採り入れるべき」だということ。F・マリノスでは現在、伊藤翔がワントップを務めているが、この試合では前線でのポジショニングや体の使い方がうまくはまらず、前線でボールをキープできないまま相手に奪われてしまうシーンが目立っていた。そんな場面を見て、前日のFリーグの試合で目にした光景が頭に浮かんできた。

 サッカーの場合、無理をして前を向こう、もしくは味方につなごうとしてボールを失う場面をよく目にする。一方でフットサルの場合は、前線の選手は縦パスを受ける際に、約束事のように敵に背中を向け、腕を使って相手のプレスを制しながらボールをキープする。このフットサルでは当たり前の動作こそ、サッカーでも採り入れられるのではないかと感じている。しっかりとマイボールにして時間(タメ)を作ることで、味方の攻め上がりや動き直しを誘発できたり、もっと有効かつ有意義に試合を進められるのではないだろうか。

 ボールのサイズや跳ね方に始まり、スパイクやシューズの形状、それにピッチのコンディションもそうだし、挙げればキリがないほどに、あらゆる条件が異なるサッカーとフットサルではあるのだが、それでも思うのは、フットサルの「ピヴォ(前線の選手)のキープ力」を、ぜひサッカー選手にも参考にしてもらいたいということ。今回の小田原セントラルを通して、そんなことを感じた。





山岸典(やまぎし・つかさ)

1993年6月8日生まれ、福島県出身。 日本大学国際関係学部に在学中、学生団体WorldFutに所属する。大学2年で通っていたスポーツマネジメントの専門学校で学ぶなかでフットボールライターを目指すと決意。現在はインターンやアルバイトなどでライターとしての活動の幅を広げている。横浜F・マリノスの熱狂的なファンでもあり、毎試合スタジアムに赴きオリジナルの試合レポート作成に取り組んでいる。

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